3つのこだわりPolicy
1.度重なる震災から生まれた社是
当地岩手県は、過去に何度も大きな震災に見舞われてきました。また全国的に見ても震災や豪雨、暴風など自然災害が増加し、近年、自然環境は私たちの生活-特に建物-にとってより厳しいものへと変化してきているように思われます。
そのような状況のもと、日々、屋根工事を業としておりますと、建物にとって屋根がいかに重要な部位であるかを強く実感させられます。一方で、高所かつ傾斜もある屋根上での作業は、その作業環境の特殊性や過酷さから、それを行う職方に独特の経験・能力を要求します。
今日まで、幾度もの災害に直面し、限られた人員で必死に対応する中で、ひとつの共通認識が私たちの中に生まれました。それは、私たちの能力が、確実に世の中で必要とされている、という実感です。このことに気づいた時、目の前に、私たちがこれから歩むべき道がはっきりと示されました。
それから間もなく、当社の社是が事務所の壁に掲げられました。
家は家族を守り、
家は屋根に守られる。
その屋根を守ることが私たちの仕事。
2.安心・安全な耐震・耐風工法
耐震工法
現在、通常の住宅の瓦屋根において耐震性能が問題となるのは、和瓦の熨斗瓦を積んだ棟部のみとなります。それ以外の部位の耐震についての課題は、業界レベルで解決済みといってよいでしょう。そこで、ここでは残された問題である和瓦の棟部(熨斗瓦を積んだ棟)の耐震化へ向けた当社の取り組みをご紹介いたします。
当社は2000年の建築基準法改正を受け第1期(旧耐震棟工法)、その後の2003年5月26日に発生した「三陸南地震」をきっかけとして第2期(新耐震棟工法)の瓦屋根の耐震棟施工の開発に取り組みました。当時、東北で耐震実験が可能な施設を探したところ宮城県栗原市の東北職業能力開発大学校に加振動設備があることが分りました。その施設をお借りし、2004年の3月から同年10月までに7日間、計20数回の耐震実験を行った結果、独自の耐震棟工法が完成いたしました。従来の耐震棟工法の数々の問題点を克服した、当社の経験と技術の結集ともいえる自信の工法です。
特長
- ①平部との一体化
- ②軽量化(準乾式)
- ③ビス止め施工による強固で粘り強い固定力
- ④従来の工事より施工性が向上(当社比)
- ⑤経済性(専用の高価な資材を使用しない)
- ⑥汎用性(どのような棟積みでも対応可能)
耐風工法
- 桟瓦は防災機能付きを使用
- 軒瓦・袖瓦は3点緊結
- 釘はeスクリング(#12 SUS)にて全数止めが基本
※1:施工上、釘止めが不可能な部位においては接着など他の補助的な手段にて対応する場合もあります。
※2:瓦の種類によっては必ずしも上記の基準とならない場合もあります。
3.寒冷地・積雪地域に対応した工法
屋根工事においてはその地方独特の気候条件に適した対策が必須です。岩手県の場合は寒冷地に属する地域が多いことから主に雪害対策が問題となります。
すが漏れ対策
寒冷地特有の屋根のすが漏れ現象。気密・断熱が充分でない住宅において多く発生します。屋根上で溶けた雪が軒裏や小屋裏に雪溶け水として浸入し、次第に軒天が痛みはじめ、放置すれば軒先部分から屋根の腐食が進行します。
※出典:「新版 屋根の知識」(宮野秋彦 監修 発行:(株)日本屋根経済新聞社)
その対策は、軒先部分の下葺きの防水性能を強化することです。
- ①釘穴に対するシーリング性能の高い下葺き材を使用する。
- ②下葺き材を2重にして止水性を向上させる。
- ③浸入した水をせき止めない対策を施す。
- ④軒先先端部分からの水の浸入を防ぐ(軒先の木材-広小舞など-の形状、軒先金物の取付に配慮する)。
- ⑤粘着性の下葺き材を使用し、下葺き材と野地板を一体化した止水層を作る。
- ⑥軒先部分の瓦を準ホールレス工法(下葺き材に開ける釘穴を最低とする工法)とし、瓦下の2次防水層での止水能力を高める。
当社の基準では上記①②③④までが標準工事です。それでも漏水を防止出来なかった場合のみ、次なる対策として⑤⑥を提案いたします。もっともこれは病気で言えば一種の対症療法です。根本的な治療は屋根の気密・断熱を高める工事を行うことです。
落雪対策
落雪防止ネット(メーカー各社から様々な名称で発売されています)やそれに類する落雪対策の製品が発売されております。その取付を行う際の注意点を以下に述べます。
①充分な強度で器具を取り付けること。
落雪防止器具には、時に強い雪の荷重がかかります。特に屋根の上に厚く雪が積もった後、急速に気温が上昇した場合、溶けた雪がいっきに屋根面を滑り降り軒先に付けられた器具に集中する場合が危険です。
器具の取付金具の強度はもちろんのこと、それを取り付ける野地板の補強などに配慮が必要です。
②すが漏れ誘発に注意
あまり知られておりませんが、落雪防止工事を行ったことで軒先に雪が集中してたまる状況になり、それが原因となってすが漏れが発生する場合があります。気密・断熱が充分な建物であれば問題ありませんが、そうでない場合は、器具の取り付けと同時に下葺き材の補強などすが漏れ対策工事を行うことをぜひお奨めいたします。
③万一のために個人賠償保険に加入しましょう。
落雪防止器具を取り付けた際のリスクとして、雪が器具ごと大量の塊になって落下する危険性がないとはいえません。近年、従来は考えられなかった極端な気象変化があります。屋根の上に器具の強度を超える想定外の雪の塊ができる可能性がないとは言い切れません。それによって自分たちだけでなく、近隣の方々へ何らかの危害を生じさせることも考えられます。
そこで、そのような場合の対策として、各ご家庭で個人損害賠償保険に加入されることをお奨めいたします。火災保険や車の任意保険などの特約として加入でき、保険料もお手頃です。ぜひ、保険会社の方へご相談してみてください。