【特許】耐震棟瓦工法Patent
発明の名称:「棟瓦(むねかわら)施工法」
特許第4804859号(登録日:2011年8月19日)
主な用途・利用方法:和瓦の棟部の耐震
1.開発するきっかけとなった課題、開発ニーズ
屋根瓦の棟部において耐震を考慮した工法は従来からあったが、①施工性が悪い(手間がかかる) ②特殊な材料を使用するため材料費がかかる ③のし瓦の積み方、瓦の色など制約が多く、自由度が低い ④組棟(青海波など)については耐震施工法自体が確立していない ⑤棟部の耐震性能は向上させられても棟下の桟瓦と棟部のはく離を防ぐ工法がなかった(はく離部分から雨水等の浸入する)など課題が多かった。一方、阪神大震災以来、地震が頻発する状況の中で、これら棟瓦の耐震工法についての問題点を解決する方法が待ち望まれていた。
2.特徴
本技術はこれらすべての問題を解決し、かつ棟部の軽量化を実現したものである。すなわち、組棟を含むどんな棟瓦でもその積み方、色を選ばず対応でき、かつ施工性が良く、材料も従来品を活用できることからコストを削減し、棟部と棟下の桟瓦のはく離を防ぐことで、震災後の雨漏りの防止もでき、かつ従来工法よりも湿式材料(棟土、モルタルなど)の使用量を削減することで軽量化を実現した。
施工手順
施工例
3.本技術の概要
金具、第1の棟芯材を使用する点は従来技術と同様であるが、棟下の桟瓦を固定する際に、ダブルロック釘を使用することで、桟瓦の上に突き出たL型の突起がその上に施工される台面部(モルタル使用)に食い込むことで棟部と桟瓦を一体化させ、振動によるはく離を防止し、かつ棟全体を安定化させる【図1】。最上部ののし瓦の上に耐震プレートを置き、その上から第2の芯材をビスで第1の芯材に固定する。この際、耐震プレートのバネ性質により固定力は従来技術より強固になり、かつ丸瓦部は完全乾式となり軽量となる。また、従来技術は湿式材料による接着力に棟の強度を依存しており、その結果、のし瓦、丸瓦の間に棟土、モルタルなどを隙間なく詰め込むことが多く、棟部が重くなっていた。本発明においてはビスによる固定力で棟積みしていくため湿式材料はバックアップ材の位置づけとなり、したがって瓦の間に隙間なく詰め込む必要がなく、この点でも棟部の軽量化が図れた。松皮のし瓦または青海波など組棟瓦を積んでいく際には、【図8】のように間に、第3の芯材(もしくは受け材)を配置しビスを継ぎ打ちしてゆくことでどのような積み方にも対応できる。
補足
当社で施工する瓦屋根においては、平成17年11月以降はほぼ100%採用している工法です。その後、平成20年の「宮城・岩手内陸地震」、平成23年の「東日本大震災」(3月11日)とその後の余震(4月7日)など、度重なる大地震を通じて、この工法を採用した建物においては、屋根瓦の被害は現在のところみとめられていません。
また、修理依頼に対応する際も、工法が確立していることから万全の体制で見積り、工事が実施できます。したがって、お客様にも、大きな安心感を持っていただいており、施工する立場の従業員も、自信を持って技術を提供しております。